夫婦の問題を長年扱ってきた臨床心理士が語る、セックスレス・会話レスの克服の考え方、対策、夫婦のカウンセリング。質問やコメントを歓迎します。
子どもを望むのにできない夫婦にとって、現代の不妊治療は救世主です。
すでに、出生する子どもの無視できない割合が不妊治療によって生まれています。
不妊治療をしても子どもを欲しいかどうかは、もちろん夫婦が決めることですが、実は、不妊治療によってセックスレスになってしまうことが少なからずあります。
なぜか?
不妊治療には大きく分けて3段階があります。
タイミング指導とは、妊娠しやすい日を医師がこの日にセックスするようにと指導することを言います。
科学的に考えれば、妊娠のメカニズムは分かっているので、最初にとるのにまず妥当な方法であるのは間違いないのですが、それが心理面に及ぼす効果としては、セックスという夫婦の内部のことが、外部の要因によって「強制」される状態になることです。
もちろん、それが気にならない人もいます。しかし、気になる人もいます。
だんだん、セックスが義務的なことのように感じて楽しめなくなってしまったり、それが昂じて「その日」以外、セックスができなくなってしまったりという話は(男性側の要因として)かなり聞きます。
人工授精というのは、夫の精子を妻の体内に人工的に戻しいれることで妊娠率を高める方法を言います。これはもうちょっとストレスが上がります。通常不妊科のクリニックには採精室なる部屋があります。ここで、男性は精子を試験管のようなものに入れることを指示されます。
感受性の高い人だと、「子どもを作るって、いったい何なんだろう」、と思っても不思議はありません。
体外受精というのは、女性の体から卵を取り出して、受精させ、受精卵(現実には胚分割が始まった状態で)母体に返すという方法です。この場合、物理的・身体的なストレスは人工授精とあまり変わりません。
一方、女性側のストレスは、まず身体面でなみなみならぬものがあります。
不妊科にいくと、女性は検査の嵐になります。その中にはかなり痛いものもあります。一方、男性の検査と言えば、当面精子数の検査ぐらいです。物理的には痛みや負担はありません。
人工授精にしても、大変なのは女性です。
注射を受けるのも女性。
体外受精のために卵を取り出すのも女性。
とにかく、女性はまず身体的にとてもきつい状況になります。
問題は、そのきつい状況に意味を見いだせるか否かです。
大変な思いをしてでも子供が欲しいのなら、不妊治療は現実的な救いです。
しかし、大変な思いをするのが自分ばかりで、夫が非協力的だとか、そこまでいかないにしても、自分の痛みを分かち合ってくれない、と感じたら・・・・
はじめまして。
私は結婚1年が経ち、子供ができないのと環境に悩んでいます。夫とのセックスも毎日の仕事と家事で疲れていて、したくありません。なんで私ばかりと思って、夫にも当たってしまいます。
夫も無理にセックスはしませんが、したいのは伝えてきます。
2年目になるので、子供ができる体か検査等を考えています。
メンタルクリニックも行ったほうがよいのではと考えています。
不妊治療は自分には現在ぴんと来ませんが、もしこのままできなければ考えなければいけないかもしれません。
夫にも相談しなければ・・・
35歳(私)36歳(夫)で子供がいません。現在医師に寄るタイミング指導を受けておりますが、どうしてもその日にしなければと思うと夫も私もプレッシャーを感じてしまい、セックスできなくなってしまいます。付き合って三年目で結婚し、結婚生活が四年経ちましたが、もともと夫は淡白で付き合っていた頃も結婚してからもセックスは少ない方であったと思います。1年ほど前から二人で子供を授かる事を意識し始め、基礎体温をつけ排卵日であろう日をねらい(医師の指導によるものではなく自分で予想)セックスしていました。なので1ヶ月に一度。それ以外の日は一緒に寝てキスしたり抱き合ったりしますがそれ以上の事はお互いに求めずです。私は20代前半、同棲していた彼とセックスレスが原因で別れています。とてもつらい経験でした。求めても断られ、切なくて情けなくて女としての自信もなくなり、全てを否定されたような気持ちになり結局私から別れを切り出しました。現在の夫とは結婚する前から何となくセックスが淡白だなぁと感じたり、求めても断られる事があったのですが、過去の出来事を思い出し、また同じ思いをするのだけは絶対嫌だと思うようになりました。なので求める事をやめました。始めはコントロールができなくて一人で布団の中で泣いてしまったり、怒りが沸々と湧いてきたり・・・とありましたが、しばらくすると私自身驚くほど、セックスに執着する気持ちがなくなり、ないならないでオッケー。と思うようになりました。夫との結婚生活において二人が兄妹みたいな感覚になってきたからか、それからはとても楽になったのです。・・・夫は、この間の私のストレスや葛藤には気づいてないと思います。セックスの問題意外ではとても良い関係を築いていると思うのですが、高齢で不妊でという焦り、そしてなんとしてもこの日にしなければというプレッシャーで夫は挿入困難に、また私自身、本来のセックスのあり方から遠ざかったような義務的な作業としてのセックスにどうしても抵抗があり濡れません。潤滑剤を使用しても、よけいに気持ちは萎えます。本当はセックスを思いっきり楽しみたいし、子供も欲しい、夫の事も愛しているはずなのに、自分自身どうしてよいかわかりません。しなければならないセックスの後の落ち込みが激しいです。夫の淡白すぎる愛撫にも問題はあると思うのですが、そればかりはどう伝えて良いかわかりません。
問題を分析すると、いろんな問題が見つかりますよね。それを指摘されるとたいてい相手は傷つきます。そういったことはセックスがらみに限りませんが、セックスのことは特に人は傷つきやすいのでそういうことが起こりやすいのです。
まず、まりもさんにお伺いしたいのは、究極の選択として、子供がほしいのか、セックスを楽しみたいのか?です。両方かもしれませんが、もしどちらか一つを選ぶとしたらどちらですか?
子どもがほしいを選ばれるなら、別にセックスはなくても今は子供を作れますよね。
この考えに反発があるのだとすれば、子供がほしいというのが第一ではない可能性が高いと思います。
一方、セックスを楽しみたいのなら、セックスにまつわる各論的な問題(濡れないとか愛撫がとか)を検討するのではなくて、そもそも「あなたとセックスを楽しみたい」という話をする必要がありますよね。
各論をいくらつぶしても、そもそものところに合意がない限り、問題は解決しないと思います。