「私たちは、セックスレスだけど、それ以外は全然問題ない。仲もいいし。愛し合っている。」という夫婦がいます。

そのことが、いいとか、悪いとか、は他人が言うべきことではないと思いまます。どういう関係を作ろうと、当人たちが納得していて、違法でなければ他人がとやかく言う筋合いのものではないからです。

しかし、たまに、そういうご夫婦が相談にあらわれます。
なぜなのでしょう？

本当に、「全然問題ない」のなら、相談においでになる必要はないはずです。

そうおたづねすると、「でも、自分たちは問題ないと思うけど、一般的にはおかしいって言われるし・・・」みたいな感じで、はっきりしません。

一般がどうであれ、本人たちが本当にそれでよいのなら、よいのだと思いますが、こうして相談においでになるところをみると、心のどこかでは自分たちも問題だと感じているのだろうということが想像できます。

この手の方たちの特徴の一つは、「問題があると認めない」ということです。
「問題はない」とお互いが言っているのですから、当然「改善」「解決」に至ることはありません。

こういう人たちは、とても「優しい」人たちが多いのです。
優しいというのは、要するに、相手を傷つけるかもしれないと思うことを言わない、ということです。

セックスをしたくない相手方に、「セックスできないのは自分は問題だと感じているよ」というと相手が傷つくのではないかと思うと、言わないのです。
もっと正確にいえば、こういう優しい人たちの優しさは徹底していて、「問題と感じる」こと自体が相手を傷つける、ぐらいの勢いですから、問題と感じているけど言わないというよりも、問題と意識すらしないことが多いのです。

繰り返しになりますが、そうしたことが「悪い」と言っているのではありません。人間、自分のことでさえ、すべてのことを意識しているなんてことはあり得ません。人は、自分の行動や思考・感情のほとんどが無意識によってコントロールされています。それがたまたまセックスレスのことであるからと言って目くじらを立てることではありません。

そうした関係の２人も、二人の間に何が起こっているかに気づいて、相手を傷つけるかもしれないことであっても、２人の関係の中で本当のことをコミュニケートすることで、問題を認め、一緒に解決していくプロセスをたどることができます。

誤解しないでいただきたいのは、何でも言えばよい、と言っているわけではないことです。きちんとコミュニケートするためには、必要な知識とスキルがあります。それを知らずして、思っていることを何でも言うぐらいなら、言わないほうがまだましなのかもしれません（だから言わなかったわけですから）。

そうした延長線上にセックスレスの解決があります。